永遠のなかの庭園

しばらく過去で暖を取りましょう

キャラメル箱の庭

地上の珊瑚のように揺蕩い

老成した土台に若すぎる六感で

遥か星の彼方に瞬く居留地

どんなに故郷と違っても大きく育った腕に光を享け

優しい南風だけが吹く部屋

揺り籠のまま最高潮へ浮かぶ

届かないはずだった別世界

陽光と鐘の音に包まれた正午

朝がどんどん明るくなって

雨も多い春晴れるごとに色彩濃く

花々に跳ね渡る光は春と夏

日毎に強まる光と影

年月に君の姿が色褪せても

面影に逢えるのなら例えようもない花園

羽根ペンとグラデーション

新生活へ羽ばたく手帳や日記の最初のページ

光の音は高まり命が生まれ

櫻に籠められた嬰児

夜になっても桜は輝くから

探し疲れても辿り着いた深さに

新緑の囀りも満開の桜色も

世界の中のほんの一部でだからこそ届くよう願う

若すぎる現実と悟りの果実

食べられても土になってもただ還るだけ

麗かな節気に焦がれゆく華

千の花が綻ぼうと生き急ぐ由はない

秘めた伝説に想いを馳せて

風のようにいつでも彼方まで

その清らかさは名残の白雪

花弁一つ一つが音もなく積もり

春も幸せもきっとまた巡る

必ず鳥が渡るように

霙が吹雪く中に春の音色を

見上げるともう冬の梢ではないから

黄金の実に降りしきる白銀

まるで幸運の泉のように華やかな願い

ほとんど見えなかった光景

心ははっきりと見つめていた

たとえ雲に意思はなくても

立ち昇る陰陽に目を凝らす

すべては生命たちのために

宝石のような輝きも儚さも

荘厳の終節は光の燃え殻

きっと眩しさを集めた色になる

それが精一杯の世界なら

王国のように染め上げればいい

日曜日の晴れ渡った景色

クリスマスを待ちながら秋も手放したくなかった

月を頬張り気の向くまま

踊ろう星が重なる間だけでも

空模様に心模様を重ねて

万感の思いさえいずれ散るけれど

胸の奥底で狂おしく吼え

静かな夜だったのに昨日なら得られたかも知れない何かを

狐火揺らめく退廃の兆し

鬼火そして漁火夏は自ら力尽きた

晴れ渡って現世から離れ

霊魂を数えるあの花が揺れるままに

実りと蘇生、楽園の秋夜

希望が高鳴り鼓動が煌めく