天に懇願し、時には毒づき
地表のほんの薄膜の
三態に縋り、翻弄されて
どれだけの業を成し遂げても
消える時は一瞬で事足りる
本当にそれで良かったのだろうか
なぜこっそりと安住できなかったのか
過ぎた夏ほど寡黙な静寂はどこにもない
蝉時雨がはたと止んだ途端
大切なささやきさえ
次の初夏の薫りの中に囚われて
ではこの風を、どうやり過ごせばいい?
色彩までも奪い、がさついた切なさを撒き散らす秋を。
(2017年7月撮影)