2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧
湖にも波がある 波には言葉がある
見え隠れする 月を追いかけて その軌道が 彫り込まれたような 川を遡ってゆく
向こうが見えない橋は まるで 箱庭の縁
箱庭を暖める風景。
輝きながら 箱庭に降り立つ
行きたい場所がある たどり着く前に きっと秋は 終わってしまうれけど
夏にはユリが咲いていた 今は 読書と物思いの森
世界はいつも 広がっているのに こんな色の景色は その広さが そのまま寂しさになる
それから 箱庭の違う入口を たくさん見つけた 庭自体が 広がった気もする
垂れ耳なので 犬かと思っていた でも 見下ろす瞳は 猫に似た 狐の眼差し
遠くに見える黄色 あれは きっと秋の花
オレンジ色は キンモクセイの花 水辺で咲いたのは まだ秋じゃない場所に 流れて行くため
街を歩いていた 海から遠かったけれど 「ずっと昔は海だった」 と 街灯が言った
緑色が溢れる場所で 水と緑の宝石のような カワセミを待っていて 午後になった
この日出会った風見は 干し草の代わりに 雲を食べている牛
空よりも先に 樹が 夕焼けの気配
今年の葡萄も きっと甘くなる
箱庭の小さな森でさえ 迷子になってしまう 小さな世界だからこそ あらゆる森が 繋がって混ざる迷宮
ガラスの外も内も 魅力的な世界だった その境界を眺めながら 両方の音を聴いていた
秋風が草むらを撫で 初夏に色彩が花開き 芸術の庭ができる
風に抱かれて 風を捕まえたと 鼻高々な子犬。 子犬に似た若い季節。
箱庭に薫風が廻る
宇宙空間色の箱庭で 一番小さな流星を 受け止めるために 天空の蓋を開いた いつの日か 銀河を呼び寄せる
森の中に点在する 建物は すべて 天文台で 太陽が傾いた今 ゆっくりと目覚める
光の街角で 誰かの箱庭に出会う
楽しそうに見えた この日からしばらく よく晴れて 自然からの言葉が 嬉しかった
春は続いてゆく こんなに近くの色彩も まるで絵のようで 蜂の羽音がするまで 夢と区別がつかない
本当に一瞬だけ 時間は止めない これが一番美しいから
この場所を 知っている気がする 思い出の底の もう逢えない誰かに 空気がよく似ている