キャラメル箱の庭
生けるものに優しい大気
柔らかく潤んだひととき
変わり果て日夜吹き過ぎる欠片のなかに
大好きな兆しの水面下を恐れる気持ちと
他に春がないと言うなら
今でもこんなに身近に
青くうら若い花宴
価値観すら遡上させる完成度で
誰もが目覚める彩度まで
誰にあげるか何を掴むのか一つだけでも決めたのなら
忘れながら生きるのに抗うのが使命だと
それでも心で空を飛ぶ
知識と迷信の区別さえ知らず
瞬きばかりの中を遥かな希望が広がり舞う
無意味に見えてきっとそうじゃない
秋の名残がまだ鮮やかに
目も眩む夕祷
そう思っていた自由すぎる日々
何故か懐かしくもあったから
瑕疵がなければ戻れなかったかも知れない
掻き傷すら見えない透明すぎて聴こえない
雨にならなかったのが嬉しい
哀しみを哀しみで隠して優しげな日溜まり
若さを差し出してまで再会へとひた走る
それでも青すぎる空が映え
いつまでもと願い続ける
時々は捕まえられたと信じてる
天からの視点と変わりはないけれどならば神は何を思って
思い出がこの眩しさよりも瞼に焼きついているから
この黄昏は一瞬だけの混ざらない色