永遠のなかの庭園

しばらく過去で暖を取りましょう

キャラメル箱の庭

平和な温もりが朧になり

生けるものに優しい大気

花降る林に息づく眼差し

柔らかく潤んだひととき

旧友のような不変の風景

変わり果て日夜吹き過ぎる欠片のなかに

生命の季節におずおずと

大好きな兆しの水面下を恐れる気持ちと

瞬間を研ぎ澄ませること

他に春がないと言うなら

孤独な日々にも紅が灯り

今でもこんなに身近に

春の郷の豊かすぎる素朴

青くうら若い花宴

桃の饗宴は短くも永遠に

価値観すら遡上させる完成度で

閉じ込めてきた冬の光を

誰もが目覚める彩度まで

春を求めて狩りに出よう

誰にあげるか何を掴むのか一つだけでも決めたのなら

思い出も透かし映すもの

忘れながら生きるのに抗うのが使命だと

手を伸ばすほど幼くない

それでも心で空を飛ぶ

どのように空を読むのか

知識と迷信の区別さえ知らず

輝く翼はあまりに眩しく

瞬きばかりの中を遥かな希望が広がり舞う

乾いた黄金を北風が薙ぎ

無意味に見えてきっとそうじゃない

何が咲いたと問いかけた

秋の名残がまだ鮮やかに

日没は宝石の名を冠し

目も眩む夕祷

無色不透明な宙なんて

そう思っていた自由すぎる日々

暖かそうに見えたから

何故か懐かしくもあったから

絵のように思えた現実

瑕疵がなければ戻れなかったかも知れない

淋しい梢とガラスの空

掻き傷すら見えない透明すぎて聴こえない

人知れず染まればいい

雨にならなかったのが嬉しい

夢のあとにも時は巡り

哀しみを哀しみで隠して優しげな日溜まり

儚いものが美しいから

若さを差し出してまで再会へとひた走る

眩しくて霞むほどの光

それでも青すぎる空が映え

どこまでも色彩を追い

いつまでもと願い続ける

とっておきの秋の欠片

時々は捕まえられたと信じてる

小さな宇宙を見おろす

天からの視点と変わりはないけれどならば神は何を思って

誰もここにいないのに

思い出がこの眩しさよりも瞼に焼きついているから

空と雲、それぞれの彩

この黄昏は一瞬だけの混ざらない色